2023 年 52 巻 2 号 p. 329-338
リアルタイムバイタルセンシングシステムにImage-Assisted Routingを採用するには,空撮画像から人物の位置情報をリアルタイムに推定するシステムが不可欠である.それにはInformed-Filtersとその並列実装が有望であるという研究がある.空撮画像を撮影するためのUAVとして,DJI Phantom 4 Pro V2.0を用いるためには,ユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)上で動作するプログラムのみを対象としているDJI Windows SDKを用いる必要がある.しかし,UWP上のアプリケーションからは,広く並列プログラミングに用いられているNVIDIA CUDA環境が利用できないという制約がある.この問題を解決するために,本稿ではUWPにおいて外部GPUを用いて並列処理を行う手段であるC++ AMPを用いてInformed-Filters を並列化し,DJIPhantom 4 Pro V2.0とリアルタイムに連携して動作できる人検出システムの実装を行った.本稿で実装したシステムの精度と速度をUnmanned Aerial Vehicle(UAV)から撮影した1920×1080ピクセルの解像度の空撮画像を用いて評価した.その結果,テスト画像全体の平均フレームレートで41.8 fpsの処理速度と高い検出精度が得られ,本実装がImage-Assisted Routingを実時間で行うのに十分な精度と速度で動作することが確認された.