画像電子学会誌
Online ISSN : 1348-0316
Print ISSN : 0285-9831
ISSN-L : 0285-9831
52 巻, 2 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
随想
デジタルファブリケーションのための画像電子関連技術論文特集
論文
  • 中島 萌子, 五十嵐 悠紀
    2023 年52 巻2 号 p. 297-314
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/09/10
    ジャーナル 認証あり

    ディップフラワーとは,ワイヤーで作った輪にディップ液という液体で膜を張って作るガラス細工のような立体的なハンドメイド作品のことである.ワイヤー・ディップ液・ゲージパイプ・ペンチなどの工具があれば誰でも気軽に取り組めるため,初心者でも挑戦しやすい.初心者が抱える主な問題点として「オリジナルデザインの作品制作が困難であること」と「デザインどおりにワイヤーを綺麗に曲げる作業が難しいこと」の2つが挙げられる.また,上手くできないことで,ディップフラワーに興味を持った初心者が自分には難しいと,作ることを諦めてしまう可能性もある.そこで本研究では,ディップフラワーのオリジナルデザイン制作を支援するシステムの開発と,システムで作ったデザインを基に3Dプリンタで出力した花びら型のパイプにワイヤーを沿わせるだけで花びらの形に成形できるようにする支援手法を提案する.提案システムと花びら型パイプによって初心者でもオリジナルデザインの作品制作を簡単にできるようにすることで,オリジナルの作品を手で作る楽しさを知ってもらい,ディップフラワーの制作へのモチベーション向上を目指す.

ショートペーパー
  • 杉田 純一, 清沢 尭礼
    2023 年52 巻2 号 p. 315-318
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/09/10
    ジャーナル 認証あり

    3Dプリンタの普及により,CT・MRIから得られる断層画像群(ボリュームデータ)から抽出した臓器モデルの印刷が身近になりつつある.臓器を観察する際には,肝臓と肝臓内の血管や腫瘍など,複数の臓器の相対的な位置関係を把握することが重要とされている.しかしながら,低価格帯の3Dプリンタの主流は,単色の熱溶解積層(FDM)方式であり,2色以上で印刷することができない.本研究では,単色3Dプリンタを用いて,複数の臓器を色分けした模型を作製するための基礎検討として,MRIで取得したボリュームデータから画像処理と深層学習を用いて頭部と脳の領域を抽出し,頭部と脳を2色で表現可能な立体模型を作製する手法を提案する.

一般論文
システム開発論文
  • 髙山 翼, 長谷川 まどか
    2023 年52 巻2 号 p. 319-328
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/09/10
    ジャーナル 認証あり

    ミツバチ不足の原因の1つであるミツバチへギイタダニの寄生は,養蜂家を日々悩ませている.このダニは体長1-2㎜と非常に小さく,目視での計測は容易ではないため,寄生ダニの計測にかかるコストの軽減が求められている.本研究では,駆除剤の投入によって巣箱の底の紙上に落下したダニを画像処理で自動計数することを目的とし,テンプレートマッチングによる動的なダニ面積閾値決定と,閾値処理を用いた計数法の提案とシステム開発を行った.提案法を実装したAndroidアプリを使用することで,屋外の養蜂場においても,カメラ内蔵のスマートフォンやタブレット端末で手軽に寄生ダニの計数が可能となった.また,精度も平均F値85%以上と良好な結果が得られたので報告する.

  • 津山 雅彦, 薛俊 峰, 森岡 隼也, 大木 琢郎, 宮本 龍介
    2023 年52 巻2 号 p. 329-338
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/09/10
    ジャーナル 認証あり

    リアルタイムバイタルセンシングシステムにImage-Assisted Routingを採用するには,空撮画像から人物の位置情報をリアルタイムに推定するシステムが不可欠である.それにはInformed-Filtersとその並列実装が有望であるという研究がある.空撮画像を撮影するためのUAVとして,DJI Phantom 4 Pro V2.0を用いるためには,ユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)上で動作するプログラムのみを対象としているDJI Windows SDKを用いる必要がある.しかし,UWP上のアプリケーションからは,広く並列プログラミングに用いられているNVIDIA CUDA環境が利用できないという制約がある.この問題を解決するために,本稿ではUWPにおいて外部GPUを用いて並列処理を行う手段であるC++ AMPを用いてInformed-Filters を並列化し,DJIPhantom 4 Pro V2.0とリアルタイムに連携して動作できる人検出システムの実装を行った.本稿で実装したシステムの精度と速度をUnmanned Aerial Vehicle(UAV)から撮影した1920×1080ピクセルの解像度の空撮画像を用いて評価した.その結果,テスト画像全体の平均フレームレートで41.8 fpsの処理速度と高い検出精度が得られ,本実装がImage-Assisted Routingを実時間で行うのに十分な精度と速度で動作することが確認された.

  • 寺浦 信之, 越前 功, 岩村 惠市
    2023 年52 巻2 号 p. 339-347
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/09/10
    ジャーナル 認証あり

    QRコードは当初産業用のデータキャリア(B2B用途)として開発されたが,現在ではWEB参照用途などのB2C用途でも用いられている.B2C用途での読取り環境では,ランダム誤りの発生も想定される.QRコードで誤り訂正に用いられているRS符号はブロック誤りに対しては高い訂正能力を有していが,ランダム誤りに対しては脆弱である.そこで,ランダム誤りに対応できるデータ三重化多数決方式を検討した.シミュレーションによって,RS符号ではランダム誤り率が3.3%程度までの訂正可能範囲に止まるのに対して,カラー2次元シンボルでは多数決を併用すると14.3%まで訂正可能となる結果を得た.この訂正手法を実装したランダム誤り耐性を有する円形カラー2次元シンボルを開発した.

ショートペーパー
  • 若尾 吏, 川喜田 佑介, 西村 広光, 田中 博, 三次 仁
    2023 年52 巻2 号 p. 348-356
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/09/10
    ジャーナル 認証あり

    本検討では,加速度データ,座標データ両者を使用したマルチモーダル情報による手話動作の認識を行った.まず,マルチモーダル情報の個々の取得情報を利用した手話動作の認識効果を確認するため,各取得データを別々に扱った場合の手話動作の識別性能比較実験を行った.性能比較の結果,各データ群のみで構築した識別器において,誤識別の傾向に違いがあることを確認した.そのため,マルチモーダル情報を利用した各識別器を相補的に統合することができれば高い手話認識性能が実現できると考えた.本論文では,マルチモーダル情報とした際の統合手法を3つ提案し,比較検討を行った.手法1は,各取得データを別々に学習した識別器の識別結果に,相対的に低い尤度の誤った識別結果候補が混入した場合を想定し,尤度を利用した識別結果候補の絞り込みを行った後に識別結果統合を行った.手法2は,低い尤度であっても順位付けされた情報には,識別結果が正解である確率が高いとみなし,各識別器の順位合計で棄却条件を付与して識別結果統合を行った.手法3は,手法1と手法2を組み合わせた統合手法である.識別結果に,正解である確率が低い結果があるときはそれぞれ棄却を行ったうえで,有意な識別結果として出力した順位の値で識別器の統合を行う統合モデルである.正解率,誤り率,棄却率から評価する評価指標γを提案し,それに基づき上記の提案した3つの手法による認識性能を評価した.

  • 佐野 将太, 川喜田 佑介, 宮崎 剛, 田中 博
    2023 年52 巻2 号 p. 357-363
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/09/10
    ジャーナル 認証あり

    室内には様々な音源が存在しており,それらの音の識別を行うことで生活状況の見守りなど多様な応用が期待できる.本論文では室内で複数の音源が同時に動作している状況において,単音に加え混合音(複数の単音が混合された音)も対象とした識別を行うための技術を提案,検証する.識別モデルの作成方法として,取得した音データを短時間フーリエ変換によってスペクトログラム画像に変換し,その画像を用いてGoogLeNetに転移学習を適用する.それにより,データ収集の負荷を軽減しながら良好な識別結果を実現する.PC上での実験として室内音環境に近い条件での音データを作成するために,音源位置の相違や距離変化を想定して取得した単音の音圧を調整した.そして,作成した混合音をスペクトログラム画像に変換して転移学習の入力とすることで識別モデルを作成した.その結果,単音,混合音の計14種の音に対して92%の識別精度を実現した.さらに,識別対象となる音源の距離変化によって学習時と異なる音圧となった場合を考慮した識別性能を明らかにし,そのロバスト性の検証結果も示した.

グループ紹介
スキャニング
図書紹介
feedback
Top