2023 年 52 巻 4 号 p. 500-506
本論文では,GPUによる並列計算に適した応力ベースの弾性体破壊シミュレーション手法を提案する.弾性体のシミュレーションを行うための位置ベース法(Position Based Dynamics),メッシュレスな応力計算手法,サーフェルと亀裂先端モデルによる亀裂進展及び破断面生成手法の3つを統合することで,動的かつ柔軟な破断面の生成を高速に処理することができる.これにより,従来の破壊シミュレーションが持つ,計算コストと亀裂形状の表現力のトレードオフの関係を解決する.また,提案手法をCompute Shaderを用いて実装し,GPUを用いた実験により,詳細な破断面表現とリアルタイム処理の両立が可能であることを検証した.