医療と社会
Online ISSN : 1883-4477
Print ISSN : 0916-9202
ISSN-L : 0916-9202
研究論文
虚血性心疾患診療における医療資源消費の構造分析
レセプト情報を用いた特定医療技術の資源消費への影響把握の試み
菅原 琢磨
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 13 巻 3 号 p. 3_15-3_43

詳細
抄録
 本稿では某健康保険組合の全面協力のもと,1993年6月-1998年3月までの診療報酬明細書(レセプト)から,「虚血性心疾患」の入院レセプトを抽出した。入院から退院までの1エピソードを1サンプルとして310サンプルをデータセットとし,「患者属性」,「医療行為・技術」,「病院属性」の各側面から,当該疾患診療の現状を描出するための記述統計的分析をおこなった。また個々の医療技術の適用が医療資源消費へどの程度影響を及ぼしているかより厳密に検討するため,心臓カテーテル検査(CATH),経皮的冠動脈形成術(PTCA),冠動脈バイパス移植術(CABG),ステント留置術(STENT),血栓溶解剤投与(THROMBOLYTICS),ペースメーカー植え込み術(PACEMKR)といった代表的医療技術に注目し,そのインパクトを患者属性,医療機関属性を考慮しつつ,分散不均一性に配慮した加重最小二乗法で推定した。
 分析の結果,「総診療点数」について,PTCAの適用は7.6~7.7万点,CABGの適用は約27万点,THROMBOLYTICSは3.2~3.6万点,STENTは4.9~6万点,ICU,CCUへの収容は1日あたり6.3~6.4千点,各々追加的な医療資源消費をもたらすことが明らかとなった。また「在院日数」を被説明変数としたモデルでは,PTCA,CABG,THROMBOLYTICS,PACEMKRの適用患者の在院日数が順に,7~8日,12~14日,14~15日,6~9日延長されること,急性心筋梗塞が主病である場合,その他に比べ10日前後在院期間が延長されること,男性は女性に比べ7日以上在院期間が短くなること,分析期間中,在院日数は短縮される傾向にあることなどが統計的に確認された。さらに病院の開設種別によっては,医療資源消費,患者の在院期間に有意差が認められた。
著者関連情報
© 2002 公益財団法人 医療科学研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top