医療と社会
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研究ノート
成人の先天性ろう者が人工内耳を装用する効果についての文献研究
音声言語認識に焦点をあてて
大久保 豪
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2009 年 19 巻 1 号 p. 107-117

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抄録

目的:成人の先天性ろう者の人工内耳装用が音声言語認識力に与える効果についてこれまでに行われた研究からわかっていることを明らかにすること。
方法:MEDLINE(1953年-2008年),PsychINFO(1887年-2008年),CINAHL(1982年-2008年)の検索エンジンを用いた。検索語は「Cochlear implant &(congenital hearing loss or prelingually hearing loss)」である。
結果:コホート縦断調査の研究は4件が条件に適合した。比較対照研究については条件に適合する研究論文が存在しなかった。上記のうち3つの研究論文では,集団でみると装用後に音声言語認識力(音声で提示された単語や文章の理解率)が向上することが示されていた。装用者個別の成績でみると,全33名の装用者中,いずれかの項目で認識力が10ポイント以上上昇していた者は15名,いずれかの項目で認識力が10ポイント以上低下していた者は3名,すべての項目でほとんど変化していない者は15名であった。
結論:装用前後の音声言語認識力の上昇は個人間のばらつきが大きい。現時点では口話など音声言語を日常の意思疎通に用いるような先天性ろう者に限って,音声言語認識力が向上する可能性があるといえる。しかし,認識力が下がる可能性にも留意しなければならない。これまでの研究では装用効果を高める予測因子については言及できない。

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© 2009 公益財団法人 医療科学研究所
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