目的
本研究は,生活保護受給者(以下,被保護者)の身体活動量・座位時間の実態と社会的資源との関連を明らかにし,生活支援策の検討に資することを目的とした。
方法
2024年9月から10月にかけて,仙台市泉区福祉事務所に登録された被保護者1,878人に自記式アンケート(IPAQ短縮版)を実施し,社会的孤立に関する既存データと統合して分析した(回答者613人)。また,ケースワーカー 20人にフォーカスグループインタビューを行い,身体活動および座位行動に関連する背景要因を質的に把握した。
結果
総身体活動量の中央値は7.4MET-h/週と低く,座位時間は720分/日と長かった。活動量は基本属性と関連を示さなかったが,座位時間は単身・障害・傷病世帯で長く,就労や社会的サポートとも関連した。特に情緒的サポートがある場合は長時間座位のリスクが低かった。質的分析では,活動促進要因として「軽運動」「家事利用」「機器活用」「親子運動」「支援グループ」等,阻害要因として「精神的制約」「資源不足」「外出機会減」「費用制限」が抽出された。
結論
生活保護受給者を対象に身体活動量・座位時間と社会的孤立の関連を検討し,長時間座位・低身体活動の実態と,社会的孤立が行動特性に影響し得ることを示した。本研究は,国内外で研究が限られている領域に新たな知見を提供する。身体活動の改善に向けては,経済的・心理的・社会的要因を考慮した包括的支援に加え,地域資源や歩数計,健康管理アプリ,テレビ・動画配信等のさまざまな機器を用いた支援を,被保護者の生活状況に応じて活用することが有効である可能性が示唆された。今後は,保健・福祉を融合したニーズアセスメントを他地域にも展開していくことが重要である。
抄録全体を表示