医療と社会
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特集:健康格差とソーシャル・キャピタルの『見える化』
Urban HEARTの枠組みを活用した介護予防ベンチマーク指標の開発
尾島 俊之JAGESプロジェクト
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2014 年 24 巻 1 号 p. 35-45

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抄録

人口が高齢化し,要介護高齢者が増加する中,効果的な介護予防対策を推進していく必要がある。そのためには,要介護に関連する要因等に関する見える化を進めることが必須であると考えられる。そこで,地域で活用できる介護予防ベンチマーク指標を開発することがこの研究の目的である。まず,評価指標の枠組みを検討し,指標の候補を作成した。次に,良い指標の評価基準を作成し,多数の指標の候補から,コア指標と推薦指標を選定した。また,年齢の交絡への対応方法を検討した。そして,実際に全国の31地域についての評価を行った。評価指標の枠組みについて検討した結果,5要素と2側面による独自に作成した分類と,世界保健機関(WHO)によるUrban HEARTの枠組みを活用することとした。それらの枠組みで指標の候補を列挙し,249の指標の候補が作成された。良い指標の評価基準を検討し,正確性,内容的代表性,社会的受容性,学術的重要性,介入可能性,入手容易性の6つを採用することとした。交絡への対応については,限定,層化,直接法年齢調整,間接法年齢調整,ベイズ推定値(間接法年齢調整),多変量解析,回帰分析の残差等を検討した結果,自治体の事務職員等へのわかりやすさを重視して層化を原則として採用することとした。各指標について評価を行い,22個のコア指標と,18個の推薦指標が選定され,それを用いた評価を行った。今後,開発されたベンチマーク指標による評価結果を用いて,対応戦略の特定を進めていく必要がある。

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© 2014 公益財団法人 医療科学研究所
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