医療と社会
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特集:人生の最期をどう生きるか,どう支えるか,どう迎えるか
本人・家族の意思決定を支える
治療方針選択から将来に向けての心積りまで
清水 哲郎
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2015 年 25 巻 1 号 p. 35-48

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抄録
本人・家族の意思決定支援について,公表されている二つの意思決定プロセス・ガイドラインが示すところを踏まえた上で検討する。
まず,厚生労働省ガイドライン(2007年)を整合的な文書として読解すると,話し合いを通して関係者が合意形成することが本人の自己決定を尊重することに先立っており,合意が成った場合に本人の意思決定を基本とする」としていることが分かる。また,日本老年医学会のガイドライン(2012年)は,厚労省ガイドラインの考え方を受け継ぎ,かつその内容を臨床的により具体的に,必要条件のみならず十分条件まで示すものである。
次に,通常の治療方針に関する意思決定プロセスにおける本人ないし家族の支援について,情報共有-合意モデルが示す関係者の共同決定というあり方を提示し,それは本人(家族)が状況を分った上での意向を形成するよう支援するプロセスでもあることを提示し,支援のあり方を検討する。
最後に,将来のケア・治療について予め考える場面について,事前指示とACP(ケア計画事前作成プロセス)を取り上げて,意思決定支援を中心に考え,ことにACPが目指す成果を最期の時点に関する事前指示というように限定せず,本人が現在以降の人生を見渡して,予想される衰えの程度と相関的にどのような治療・ケアを受けるかの心積りをしていくことこそ,本人にとって肝要であることを示す。
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© 2015 公益財団法人 医療科学研究所
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