2019 年 29 巻 1 号 p. 59-70
米国での家庭医療専門医を取得後に2001(平成13)年から岡山県北,奈義町での診療を開始し,地域での家庭医療の実践と家庭医療・総合診療専攻医育成に取り組んできた。また,医師だけでなく地域で働く看護師や薬剤師の育成にも取り組み,一定の成果を上げている。
家庭医療看護師育成は日本プライマリ・ケア連合学会のプライマリ・ケア看護師の認定制度につながるモデルとなり,家庭医療薬剤師レジデンシーは日本プライマリ・ケア連合学会の研修制度の現場での教育モデルになり得る取り組みである。家庭医療・総合診療専門医教育とプライマリ・ケア領域の看護師・薬剤師教育はIPEの視点で共有できる教育リソースがあり,全国に約400ある専門研修プログラムとのリンクが望まれる。
奈義ファミリークリニックでの,18年間の取り組みを振り返ることで,家庭医が地域に及ぼす影響を,地域で新たな役割を担う人材育成の面から検証したい。