医療と社会
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新型コロナウイルス感染症:対策の課題と今後の展望
新宿区からみたCOVID-19対策
基礎自治体の果たす役割
吉住 健一
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2022 年 32 巻 1 号 p. 21-35

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抄録

感染症流行時における自治体の初期の役割は感染予防の呼びかけとなる。但し,感染症の種類が危険なものである,又は非常に感染力が強いと分かった場合には,自治体は感染拡大防止のために住民等に行動抑制を要請することになる。

住民に効果的な協力をしてもらうためには,自治体と住民の関係が良好である必要がある。良好な関係を作るためには,情報の共有と相互理解が前提となり,行政は明確な目標を持った方針の説明をしなくてはならない。また,感染拡大している時に,住民の暮らしを守ることが必要である。

新型コロナウイルス感染症を収束させる取り組みは,感染拡大防止が目的であり,感染者や感染者が所属する店舗の摘発が目的ではないことを理解することが大切である。

新型コロナウイルス感染症の収束に向けた有効な対策の一つとして期待された新型コロナワクチンは,人類が初めて接種するタイプのワクチンで不安に思う人も多かったが,効果が理解されると接種希望者が増えた。自治体は,ワクチン接種を希望する人にできるだけ早く接種をする努力をした。また,自治体は,希望しない人にワクチン接種の有用性を伝えることにも努力をした。

感染防止に協力的な人とそうではない人の対立を防ぐこと,感染者の人権を守る代わりに感染拡大防止に協力してもらうことは,未知のウイルスと人類の戦いをするうえで重要ことであると考えている。

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