抄録
本稿は,Conjoint Analysisを用いて,独自に行ったアンケート調査から風邪に対する医療サービス需要,大衆医薬需要の価格弾力性を推定した。この手法はさまざまな利点がある一方,想定質問を用いることによる誤謬が存在すると考えられるが,本稿では,その誤謬を「選択行動を想像することに伴う誤謬」と「想定的シナリオに伴う誤謬」に明示的に分け,確認・評価を行った。その結果,後者の誤謬に関しては,限界的なシナリオの変化は影響しないものの,シナリオの大きな変化に対しては最大約1/3の誤謬が存在することが判明した。