日本統合医療学会誌
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総説
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防および重症化軽減におけるビタミンDの臨床的意義
蒲原 聖可
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2020 年 13 巻 2 号 p. 103-117

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抄録

新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2, SARS-CoV-2)感染を原因とするCOVID-19のパンデミック(世界的大流行)が、社会経済活動を抑制し、新しい生活様式が求められるほどの大きな影響を生じている。COVID-19リスク低減には、SARS-CoV-2への暴露機会を減らす対策とともに、宿主となるヒトの側での感染に対する抵抗性を高める対策も重要である。ビタミンやミネラルといった微量栄養素の摂取は、生体機能における免疫の維持に必須である。先行研究では、ビタミンD低値と呼吸器感染症リスク上昇との有意な相関が示されてきた。また、ビタミンDサプリメントの投与によるインフルエンザ罹患率の低下や上気道感染リスク低下作用が報告されている。COVID-19の高リスクとなる基礎疾患では、ビタミンD低値が認められる。さらに、欧州における横断研究では、COVID-19の罹患率や死亡率、重症度と、ビタミンD値との間に有意な負の相関が示されている。COVID-19の感染リスク上昇や重症化メカニズムに関しては、まだ不明な点が多い。現時点のエビデンスを俯瞰するとき、1日あたり1,000IUのビタミンDサプリメントを摂取し、ビタミンD血中濃度を維持することが、抗炎症作用や免疫調節作用などを介したCOVID-19予防および重症化予防のための補完療法として有用と考えられる。

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