日本統合医療学会誌
Online ISSN : 2436-2158
Print ISSN : 2435-5372
13 巻, 2 号
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巻頭言
COVID-19特集
  • Johann Perdomo Delgado, Evelyn Anie Gonzalez Pla
    2020 年13 巻2 号 p. 69-74
    発行日: 2020/11/30
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー

    キューバにおいて自然伝統医学はホリスティックで統合的なアプローチを行う医学専門分野の一つとして認識されており、各種自然伝統医学と現代西洋医学を統合することによって健康増進、疾病予防、診断、治療、およびリハビリテーションに活用されている。鍼療法、植物療法、ミツバチ療法、ホメオパシー、フラワー療法、オゾン療法、伝統体操、水治療法、日光海洋療法、自然栄養、アーユルヴェーダの11療法が正規の自然伝統医学として定められている。新型コロナウイルス感染症COVID-19に対しても国の政策の一部として自然伝統医学を含めた包括的治療戦略が展開された。

    COVID-19に対する治療プロトコールに最初に組み込まれた自然伝統医学は植物療法、ミツバチ療法、ホメオパシーの3療法であり、その後オゾン療法が加えられた。ホメオパシーのレメディーではPrevengHo®-Virが種々のウイルス感染症の予防のために推奨されている。植物療法-ミツバチ療法関連の製品は低リスク患者群に用いられる。オゾン療法については持続的PCR陽性患者に対して直腸投与される。PrevengHo®-Virおよび直腸オゾン療法は臨床試験が進行中である。

    キューバのCOVID-19治療プロトコールは感染症のパンデミックに対応するための統合医療モデルとなるだけでなく、COVID-19予防管理プランとして次のような重要な特徴を有している:部門間の連携(政府と公衆衛生、社会経済、国防など各部門の連携による健康管理情報、ソーシャルディスタンス対策、国境警備、リスク因子低減、社会的弱者の保護など)、積極的な監視(プライマリケアのレベルで発症者を特定して病院に隔離し、病期に応じた医療を提供)、産業技術の利用(バイオ技術の研究と臨床応用、ワクチンの開発と検証など)、他分野技術の導入(数理モデルによる予測、高リスク地域の地図表示、マルチレベルモデルとAIプログラムによる地域比較など)

  • Pham Quoc Binh, Nguyen Thi Lan
    2020 年13 巻2 号 p. 75-78
    発行日: 2020/11/30
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー
  • 高山 真, 有田 龍太郎
    2020 年13 巻2 号 p. 79-81
    発行日: 2020/11/30
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー
  • 和辻 直
    2020 年13 巻2 号 p. 82-89
    発行日: 2020/11/30
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー

    2019年末より世界中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延している。このような状況下で鍼灸診療における現状やCOVID-19への感染対策などについて、2020年8月初旬までに公開されている限定的な情報を総括する。方法はCOVID-19の感染拡大による鍼灸診療の状況や影響の有無などを鍼灸業界の雑誌や鍼灸関連の学会や業団のホームページなどから収集した。結果、COVID-19の感染下で日本の鍼灸診療では非感染者に対して自然治癒力を高め、心身状態を管理することを目標としていた。また感染予防対策を徹底し、セルフケアのために養生法を指導していた。一方、中国では「COVID-19への針灸介入に関する手引き」を作成し、中西医結合体制で西洋医学と中薬や中医針灸などをCOVID-19患者に用いていた。今後、日本でもCOVID-19の後遺症が明らかになってくるなかで、鍼灸治療が求められる可能性があると考えられる。

  • 竹谷内 啓介
    2020 年13 巻2 号 p. 90-93
    発行日: 2020/11/30
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー

    新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴い、世界各国で補完代替医療の各業種団体が新型コロナウイルス感染症の予防や治療に関連した情報を提供している。本稿では、米国、英国およびわが国での新型コロナウイルス感染症に係るカイロプラクティック広告規制について報告する。

  • 宮森 孝子
    2020 年13 巻2 号 p. 94-102
    発行日: 2020/11/30
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー

    アロマテラピーで使用する精油は、植物が病原性微生物や環境から身を守るため、光合成の過程でつくる炭化水素と官能基から成る有機化合物である。19世紀までの薬のない時代において人類が感染症と闘った歴史の陰には常に精油があり、現代の治療薬も精油の芳香分子の構造を模倣し創薬されてきた経緯がある。特にオレガノ精油は西欧において天然の抗生剤ともいわれ重宝されてきた。フランスのメディカルアロマテラピーにおいて、オレガノ精油に含有される分子に抗ウイルス作用、抗菌作用、抗真菌作用、抗原虫/抗寄生虫作用、また免疫調整作用があるとされる。COVID-19に対する確たる治療薬やワクチンがいまだない状況において、精油使用は感染症に対するセルフケアの方略の一つとして見直し活用するに値すると思われる。また嗅覚の機序とストレスの発症機序がほぼ同じであることから、香りはストレス緩和に有用である。したがって心身の些細な違和感を知覚したとき、不安感や恐怖感が生じたときに精油を用いてセルフケアすることにより感染症の予防や緩和、ストレス軽減が期待できると考える。ここでは感染経路に応じた具体的な精油使用法とその根拠を述べる。

総説
  • 蒲原 聖可
    2020 年13 巻2 号 p. 103-117
    発行日: 2020/11/30
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー

    新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2, SARS-CoV-2)感染を原因とするCOVID-19のパンデミック(世界的大流行)が、社会経済活動を抑制し、新しい生活様式が求められるほどの大きな影響を生じている。COVID-19リスク低減には、SARS-CoV-2への暴露機会を減らす対策とともに、宿主となるヒトの側での感染に対する抵抗性を高める対策も重要である。ビタミンやミネラルといった微量栄養素の摂取は、生体機能における免疫の維持に必須である。先行研究では、ビタミンD低値と呼吸器感染症リスク上昇との有意な相関が示されてきた。また、ビタミンDサプリメントの投与によるインフルエンザ罹患率の低下や上気道感染リスク低下作用が報告されている。COVID-19の高リスクとなる基礎疾患では、ビタミンD低値が認められる。さらに、欧州における横断研究では、COVID-19の罹患率や死亡率、重症度と、ビタミンD値との間に有意な負の相関が示されている。COVID-19の感染リスク上昇や重症化メカニズムに関しては、まだ不明な点が多い。現時点のエビデンスを俯瞰するとき、1日あたり1,000IUのビタミンDサプリメントを摂取し、ビタミンD血中濃度を維持することが、抗炎症作用や免疫調節作用などを介したCOVID-19予防および重症化予防のための補完療法として有用と考えられる。

原著
  • 木村 友昭, 鈴木 清志, 片村 宏, 牧 美輝
    2020 年13 巻2 号 p. 118-127
    発行日: 2020/11/30
    公開日: 2021/11/30
    ジャーナル フリー

    目 的:統合医療施設において、がん患者のQOLおよびスピリチュアルな態度を評価し、それらと岡田式健康法との関連を検討する。

    方 法:がん患者を対象に、10項目版MOAQOL調査票(MQL-10)、25項目版SKY式精神性尺度(SS-25)、日本語版FACIT-Sp、岡田式健康法(食事法、美術文化法、浄化療法)の実践状況、および宗教性などを測定し、それらの関連を分析した。

    結 果:本研究に64人の患者が参加し、大腸がんが20人、乳がんが17人、子宮・卵巣がんが8人、肺がんが6人、胃がんが5人の順であった。MQL-10の合計得点とFACIT-Spの合計得点、ならびにSS-25の合計得点とFACIT-Spの合計得点の間に強い相関が認められた。宗教性得点においては、SS-25およびFACIT-Spとの間に中程度の相関がみられた。岡田式健康法のなかで、食事法と美術文化法の頻度について、各尺度との間に中程度から弱い相関が認められた。

    結 語:統合医療施設を受診するがん患者におけるQOLとスピリチュアルな態度、および健康法の頻度との間に有意な関連がみられた。

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