日本統合医療学会誌
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COVID-19特集
自然伝統医学を併用した統合医療でCOVID-19とたたかう:キューバにおける実践経験
Johann Perdomo DelgadoEvelyn Anie Gonzalez Pla
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2020 年 13 巻 2 号 p. 69-74

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抄録

キューバにおいて自然伝統医学はホリスティックで統合的なアプローチを行う医学専門分野の一つとして認識されており、各種自然伝統医学と現代西洋医学を統合することによって健康増進、疾病予防、診断、治療、およびリハビリテーションに活用されている。鍼療法、植物療法、ミツバチ療法、ホメオパシー、フラワー療法、オゾン療法、伝統体操、水治療法、日光海洋療法、自然栄養、アーユルヴェーダの11療法が正規の自然伝統医学として定められている。新型コロナウイルス感染症COVID-19に対しても国の政策の一部として自然伝統医学を含めた包括的治療戦略が展開された。

COVID-19に対する治療プロトコールに最初に組み込まれた自然伝統医学は植物療法、ミツバチ療法、ホメオパシーの3療法であり、その後オゾン療法が加えられた。ホメオパシーのレメディーではPrevengHo®-Virが種々のウイルス感染症の予防のために推奨されている。植物療法-ミツバチ療法関連の製品は低リスク患者群に用いられる。オゾン療法については持続的PCR陽性患者に対して直腸投与される。PrevengHo®-Virおよび直腸オゾン療法は臨床試験が進行中である。

キューバのCOVID-19治療プロトコールは感染症のパンデミックに対応するための統合医療モデルとなるだけでなく、COVID-19予防管理プランとして次のような重要な特徴を有している:部門間の連携(政府と公衆衛生、社会経済、国防など各部門の連携による健康管理情報、ソーシャルディスタンス対策、国境警備、リスク因子低減、社会的弱者の保護など)、積極的な監視(プライマリケアのレベルで発症者を特定して病院に隔離し、病期に応じた医療を提供)、産業技術の利用(バイオ技術の研究と臨床応用、ワクチンの開発と検証など)、他分野技術の導入(数理モデルによる予測、高リスク地域の地図表示、マルチレベルモデルとAIプログラムによる地域比較など)

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© 2020 一般社団法人日本統合医療学会
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