本研究では、医療従事者のスピリチュアリティやスピリチュアルケアに対する考えを、東洋と西洋、そして医師とその他の医療従事者の間で比較検討した。日本統合医療学会の国際委員会が電子アンケートによる調査を実施し、14ヶ国の医療従事者のデータを収集し、東洋と西洋に分類したうえで分析を行った。治療過程におけるスピリチュアリティ・宗教の重要性の認識を比較した後、テキスト分析を行い、1)スピリチュアルケアについての考え、2)従来の医療に伝統医療・宗教の精神性を取り入れる際の課題、に関する意見の解析を行った。
その結果、女性が半数以上(54.5%)、医師が半数近く(47.3%)の332名の参加者のうち、西洋のグループは「治療の過程でスピリチュアリティ・宗教が重要である」 と回答する割合が有意に高かった。参加者は、スピリチュアリティ・宗教を重要視する一方で、医療現場における実施に向けて多くの課題の存在を認識していた。