2021 年 14 巻 2 号 p. 114-121
目 的:上顎最後臼歯後方の歯肉で疼痛閾値が低下している部位にシリコンで形成された微細突起を用いて軽度の侵害刺激を与え、僧帽筋の筋硬度および自覚的肩こりの改善が認められるかを検証した。
方 法:安静と介入の順序を入れ替えたランダム化クロスオーバー試験を実施した。肩こりを自覚している健康成人26名を対象とした。介入はシリコンで成型された直径5mmの円形台座に0.08mmの先端を100個密集させた器具(ソマニキスオーラル)を用いた。左右の上顎最後臼歯後方の歯肉で侵害閾値が低下している部位に1Hzの頻度で60回の摩擦刺激を行った。僧帽筋の筋硬度を超音波エラストグラフィ法(Shear Wave Elastography:SWE)にて測定した。肩こり感はVisual Analogue Scale(VAS)にて記録した。
結 果:介入後に僧帽筋の筋硬度は有意に低下した。安静・介入前後の筋硬度の変化量を比較した結果、介入で有意に低下した。肩こりのVASは安静・介入ともに有意に低下したが、その変化量と筋硬度の変化との相関は認められなかった。
結 語:歯肉に対して軽度の侵害刺激を与えることによって、僧帽筋の筋硬度が低下する可能性が考えられた。筋硬度の低下が肩こりの改善と関連するかは明らかにならなかった。