2021 年 14 巻 2 号 p. 85-97
近年、世界一の高齢先進国であるわが国においては超高齢少子社会の克服モデルが求められている。
鹿児島県奄美群島は豊かな自然と共生し、長寿者が多く、子どもが多く産まれ育っているが、群島内に就業の場が少なく若年層の島外流出による人口減少が進行している。そこで鹿児島県では長寿・子宝の要因を分析し、一層の長寿・子宝に活かすとともに、要因資源を地場産業化、観光産業化し、定住人口を増やし持続的長寿・子宝に資するという戦略の下に超高齢少子社会克服モデルの構築・推進に取り組んだ。
その結果、長寿・子宝の要因活用の地場産業・観光産業や住民活動が増え、10年、15年後の長寿・子宝指標も高水準を維持し、2021年度には世界自然遺産登録もなされた。自然と共生した超高齢少子社会克服モデルとして多くの示唆が得られたので報告する。