日本統合医療学会誌
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総説
公民連携による課題解決型保健事業としての健康増進・未病改善の取り組み―減量プログラムの利活用および母子保健での葉酸サプリメント啓発活動―
蒲原 聖可
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2022 年 15 巻 2 号 p. 70-78

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抄録

背 景:地方自治体とヘルスケア企業との公民連携による健康づくりのための取り組みが行われるようになった。

目 的:ヘルスケア企業であるDHCと地方自治体との産官民協働による課題解決型保健事業としての、①肥満・メタボリック症候群に対する減量プログラム、②妊娠・出産・産後のアウトカム改善のための葉酸啓発プロジェクトの推進。

方 法:①成人肥満者を対象に、非対面型減量プログラムを構築し、フォーミュラ食(置き換え食)の利用を通じた肥満改善施策を、茨城県境町において実施した。②神奈川県平塚市の妊産婦を対象に、葉酸サプリメントの摂取状況の調査を行い、課題解決に向けた施策を検討した。

結 果:①87名がプロジェクトを完了した。12週間のプログラムにより、BMIおよび体重が有意に減少した(p<0.01)。さらに、52名が腹部CT撮影による内臓脂肪面積の評価を受け、介入後に有意な減少を認めた(p<0.01)。②調査の結果、妊娠中の葉酸サプリメントの利用率は28.3%であった。そこで健康課では、2018年10月、「ひらつかはぐくみ葉酸プロジェクト」を開始した。現在、プレコンセプションケアとしてプロジェクトが推進されている。

考 察:肥満および母子保健での栄養啓発という行政課題があり、それらに対する課題解決型保健事業を実施し、それぞれの取り組みにおいて、一定の有用性が確認できた。今後、健康長寿社会の実現に向けて、産官民協働による課題解決型保健事業の取り組みを継続する。

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