日本統合医療学会誌
Online ISSN : 2436-2158
Print ISSN : 2435-5372
報告
日本におけるカンナビジオール製品の使用実態に関する横断調査
正高 佑志杉山 岳史赤星 栄志新垣 実
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 15 巻 2 号 p. 92-101

詳細
抄録

背 景:大麻草に特異的に含有される化合物であるカンナビジオール(CBD)は抗てんかん薬として処方される以外にも諸外国では疼痛、不安、不眠などの症状緩和に利用されている。本邦でも近年、食品、化粧品、嗜好品として幅広く流通しているが、国内におけるCBD製品の用途や有効性、安全性についての調査はこれまでに行われたことがない。

方 法:2021年8月16~31日の期間にCBD使用についてのオンライン調査フォームを作成し、SNSを用いて回答を呼びかけた。調査対象はCBD使用経験者(過去1年以内にΔ9-tetrahydrocannabionol(THC)を含む大麻使用者を除く)とした。

結 果:回答した1,351名のうち、解析対象に該当した799名の60.6%は男性で、平均年齢は37.7歳であった。用途として多かったのはリラクゼーション(77.8%)、睡眠改善(66.3%)、不安(56.2%)、健康増進(50.8%)、抑うつ(47.8%)であり、使用者は平均して5.5の目的に対してCBDを使用していた。使用前後の各症状についての重症度自己評価で50%以上改善していた人の割合は以下のとおりであった:頭痛70.9%、慢性痛67.8%、睡眠障害67.4%、物質使用障害66.7%、神経痛65.5%、抑うつ62.4%、不安59.6%、関節痛54.5%、膠原病50.0%、皮膚疾患49.7%、てんかん42.1%、ぜんそく37.8%。副作用が疑われる症状の出現率は7.4%で、重篤なものは認められなかった。

結 論:日本国内において、CBD製品は主にメンタルヘルス領域のセルフケアの手段として活用され、ユーザーの多くが症状の改善を自覚していることが示唆された。

著者関連情報
© 2022 一般社団法人日本統合医療学会
前の記事
feedback
Top