アロマセラピーは、世界中で利用される補完・代替療法である。先行研究においてアロマセラピーの介入刺激として用いられるいくつかの香りは生理学的指標に影響を及ぼすことが報告されている。本稿では、香りによる血圧や自律神経活動への影響に焦点を絞り、香りが誘発する血圧および自律神経活動への作用や、その作用機序について概説する。香りの吸入は血圧を上昇または低下させる作用を引き起こすことがわかっており、香り吸入による血圧応答は、嗅覚経路-中枢神経系の機序や芳香成分の血管局所作用を介した機序、呼吸器の求心性C線維を介した機序などが関与していることが報告されている。同じ香りの種類を使用した場合であっても、提示する香りの濃度や作用部位が異なると、生体応答に差があることもわかってきた。したがって、アロマセラピーを実施する際には、対象者の特性や目的に応じて香りの種類、濃度、施術方法を適切に選択することでより高い効果が得られると考えられる。