目 的:本研究は、糖尿病患者の白癬肥厚爪を改善するために爪白癬フットケア療法(OFT)の有効性を多職種協働で検討することである。
方 法:多施設共同非ランダム化前方視的比較試験。対象は研究に対し文書による同意を得た病院・診療所・訪問看護・介護施設の1型・2型糖尿病爪白癬患者で、OFT群(重炭酸・グラインダー法・爪溝掃除・エフィナコナゾール・ヒルドイド塗布・足つぼ押し)と対照群(足浴・エフィナコナゾール以外の白癬薬・ヒルドイド塗布・足つぼ押し)を比較した。主要評価項目は、1年後まで3ヶ月ごとの感染面積と1年後の白癬菌の有無、副次評価項目は新生爪伸長、爪の厚さ、脈拍とした。
結 果:分析対象となったのは122名(各群61名)であった。感染面積の中央値は、OFT群ではベースライン100%から3ヶ月後に70%となり、1年後33.0%まで改善がみられ、対照群はベースラインでは100%から6ヶ月後に80.3%となり、1年後75.0%であった。1年後のKOH直接鏡検による白癬菌陰性例は、OFT群では62.3%、対照群では0%であった。
結 論:OFT群では感染面積がより早期に縮小する傾向がみられ、白癬菌陰性となる例も多かった。このことから、糖尿病患者の重症爪白癬に対して多職種協働によるフットケアの継続は有用である可能性が示唆された。
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