抄録
本稿では、医学的観点から肢体不自由の、特に脳性まひのある子どもに対する心理リハビリテーションを概観し、現在、教育現場で行われている心理リハビリテーションの課題を明らかにすることで、今後、肢体不自由児・者教育の現場で活用することのできる心理リハビリテーションプログラムを構築するための基礎研究を実施した。教育分野における研究を検討した結果、心理リハビリテーションが動作法・心リハキャンプを中心とした観察・質的研究が多く、その他のリハビリテーションプログラムへの言及がほとんどなされていないことや、動作法・心リハキャンプに関しても量的にその効果を検証した研究は少ないことを明らかにした。今後の課題として、肢体不自由児・者に対する心理リハビリテーションの効果を定量的に把握する量的研究や多職種連携に基づいたプログラムの充実が挙げられた。