筑波大学附属図書館では、2006年3月に電子図書館システムの更新をおこなった。新システムのメインコンセプトの一つはポータルであったが、期待していたほどの効果はなかった。その原因を探るため、利用者への聞き取り調査を行ったところ、ポータルデザインが利用者の予想イメージと一致しないこと、利用者は必ずしもポータルを出発点としないこと、情報資源へアクセスする際の道筋も多様であることなどが原因であることが明らかになった。これらのことから、図書館ポータルをデザインする際には、利用者のシステムに対するメンタルモデルを予測し、複数のアクセスパスを適切に設定することが重要であることを導いた。さらに、ベンダーごとの仕様の違いがポータル構築の障害になることを指摘した。