抄録
特許マップ作成の目的の一つに企業の戦略を分析し次の一手を予想することがある。ところが、企業戦略は経営戦略、販売戦略等様々な要因に左右され、特許分析から予想できる場合とできない場合がある。後者の場合、無理な特許分析によって牽強付会の誤った結論に至る危険性がある。結果的に予想ははずれ、特許マップと分析者の信用が損なわれることになる。これを避けるためには、予め自分の知りたいことが、用いる方法によって得られるかどうか、言い換えれば分析方法の妥当性を検証する必要がある。本稿では、サントリーを事例として企業の戦略分析法を検討し、その過程で(1)特許分析の妥当性を検証する方法、及び(2)特許分析から企業の戦略が分からない場合の分析方法について検討した。