抄録
映画の製作及び流通には、これまで映画フィルムが用いられてきたが、近年デジタル化が急速に進展し、デジタルデータとして扱われることが主流となった。デジタルデータは保存用のメディアやフォーマット、あるいは活用時に必要とされる技術的な環境が頻繁に変化するため、これを長期間、例えば100年という期間において保存し、再生可能な状態に保つことは容易なことではない。
これらの問題に対し、東京国立近代美術館フィルムセンター デジタル映画保存・活用調査研究事業班では、文化庁「美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業」の補助を得て、デジタル映画の保存・活用に関する調査研究を実施している。本発表では、欧米における取り組み状況の紹介を中心に、デジタル映画の保存・活用に関する動向について報告する。