抄録
海外特許調査において、非英語圏で出願された特許は、従来、マルチカントリー型商用DB(データーベース)でさえ、クレーム以下の情報収録が無かった。近年、中国、韓国等の新興国の特許数の増大とともにDB側の対応が進み、英語または日本語に機械翻訳された情報を収録するDBが増えてきた。また、日本特許庁より中韓文献翻訳・検索システムなども、無料で提供されるようになった。そこで、韓国特許について、商用DBの提供する機械翻訳や、日本特許庁の中韓文献翻訳・検索システムにおいて、英語または日本語に機械翻訳されたクレームをキーワード検索する際の検索精度及び、注意点について検証した。
その結果、キーワード検索した際の再現率(得られるべき正解母集団に対する網羅性)が9割以上のものがある一方、2割未満のものもあった。ヒットできなかった原因は、(1)正しいキーワードに訳されない の他に、(2)日本語キーワードから想定されるようなハングル表記でないため、別の言葉に訳される こともあるなどが分かった。再現率を上げるためには、(A)機械翻訳特有の異表記を考慮する だけでなく、(B)対応するハングルの異表記から想定される機械翻訳も考慮する などの対策が必要と考えるが、それでも機械翻訳されたものを、キーワード検索して網羅するには限界あり、現地出願人が競合として存在する場合の侵害予防調査など、網羅性が必要な場合は、漏れを防ぐため、(α)競合出願人に関しては広めに検索補完する 望ましくはさらに(β)ハングルキーワード検索により補完する などが必要と考える。