抄録
特許協力条約基づく国際出願(PCT出願)の国際調査報告(ISR)は、出願時の新規性、進歩性の判断を提供するもので、その統計解析は、出願・権利化対応の実態を調べる有効な手段である。最近、ISR評価について、扱いが容易なテキストデータが入手できるようになった。そこで、特定分野の技術(ナノファイバー)について、統計解析を検討した。日本、中国、韓国で受理され案件のISR評価に違いを調べることを目的とした。その結果、次の点が分かった。
①引用文献にX文献(新規性に関わる引用文献)が存在する比率は、日本、中国が受理国の場合、55%以上と高く、受理国が韓国の場合は15%~40%と低かった。
②引用文献のX文献の出願人が本願と同一出願人である比率は80%~95%と非常に高かった。
③ISR評価のX文献、Y文献(進歩性に関わる引用文献)の合計数と中間手続アクション回数には相関関係があった。
発表では、データの詳細及び検討の結果を報告する。