情報ネットワーク・ローレビュー
Online ISSN : 2435-0303
論説
デジタル遺品の法的問題:SNSアカウントのアクセス権の相続性を中心に
栗原 佑介
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2020 年 19 巻 p. 64-80

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抄録

本稿は、デジタル遺産のうち、SNSアカウントの法的処理について、アクセス権の「相続」可能性を検討し、デジタルデータとアイデンティティの関係を考察する。

まず、SNSアカウントへのアクセス権を中心に各種サービスの利用規約を概観し、ドイツの裁判例(Facebook事件)、アメリカのRUFADAA(The Revised Uniform Fiduciary Access to Digital Assets Act)などを取り上げ、諸外国の状況を概観する。

次に、こうしたアクセス権の相続の問題が、データの企業への一極集中に端を発していることから、データの帰属に関し、自己主権型アイデンティティという考えの紹介と、既に自己主権型アイデンティティの社会実装の取組み、データポータビリティという制度の組み合わせにより、データをめぐる権利関係が自己主権型への転換がなされることを論じる。

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© 2020 情報ネットワーク法学会
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