2021 年 12 巻 1 号 p. 1-7
衛星航法システムに対する補強情報を送信する補強システムとして,静止衛星を使用するSBAS(Satellite-Based Augmentation System)が標準規格となっている.SBASの信号はGPSと同一の形式であり,GPSと同様に測位衛星として利用できる.日本のSBASであるMSASは過去にこのために必要なメッセージを送信して測距機能を提供していた時期があるが,現在は提供していない.一方,MSASの静止衛星は2020年4月に更新されており,信号生成方式が変更されていることから,測距機能の提供を再開した場合にはその性能に変化があるものと思われる.静止衛星の更新前後のMSASについて測距精度を評価したところ,現行のMSASでは以前よりも改善されており,GPSと同等であることがわかった.