2025 年 16 巻 1 号 p. 1-5
ディファレンシャルGPS方式による衛星測位システムにおいては,ユーザ局と基準局の間における大気遅延の差異に起因する測位誤差を生じる.このうち対流圏伝搬遅延の差異については,基準局の位置が既知であれば補正が可能であり,測位精度を改善できる.この補正は,提供される基準局位置,すなわち基準局の公称位置にもとづいて実行されることになるが,例えば準天頂衛星システムSLASサービスでは公称位置の分解能が粗いため,補正処理により新たな測位誤差を生じる.また,基準局を移設する際にはその位置が公称位置から大きく移動することが考えられ,この新たな測位誤差は無視できない可能性がある.ユーザ局と基準局の間における対流圏伝搬遅延の差異を補正するディファレンシャルGPS方式について,基準局の公称位置と真の位置の違いが測位誤差に及ぼす影響と,その除去のためにディファレンシャル補正情報を修正する方法を検討したので報告する.SLASを想定して効果を試算したところ,公称位置の分解能に起因する最大で20mm程度になる位置誤差を除去でき,また基準局移設時の位置誤差を大きく抑制できることを確認した.