抄録
本研究では受信機が測位に必要な時間TTFF (Time To First Fix) を短縮するために,新しい航法メッセージを受信せずに,過去の航法メッセージを初期値として使う衛星位置予測法を提案する.測位衛星の位置予測結果に対して,精密暦で求められた衛星位置を用いて予測精度を評価した上で,最適な摂動モデルを決定する.実験により,全衛星に対して,地球ポテンシャルモデルをJGM-3モデルで次数が8次,太陽輻射圧のモデルがGSPMモデルでのシミュレーション結果から,72時間以内の衛星軌道予測によるユーザー視線方向のレンジ誤差が約90m以内になっていることが確認され,提案した予測法の有効性が示された.