抄録
従来性染色体異常のスクリーニング検査には口腔粘膜細胞によるX-染色質検査が行われてきた. しかしこの方法はX染色体異常の検出には有力な手段となり得たものの, Y染色体異常の検出には全く無力であつた. ところが最近キナクリン及びキナクリン・マスタードによる螢光染色法が開発され, Y-染色質検査を行うことにより, Y染色体異常の検出が可能となり, 両者を合わせ行うことにより, 数的な性染色体異常に関してはすべて検出可能となつた.
そこで当施設におけるY-染色質検査を行つたところ, XY男子においては, 60-80%に検出され, XYY男子においては, 14-29%に2つ検出され, XX女子においては全く検出されなかつた. 従つてこの方法はY染色体異常のスクリーニング検査として有力な手段となり得よう.