抄録
重障児集団における小奇形や異常皮膚紋理の頻度を出すと共に, その有無による障害時期の推測を目的に本研究を行つた.
研究対象としては関信地区国療入院重障児で, 小奇形の観察に193名, 皮膚紋理の検査には330名を選んだ. 対照群として100名の健康な幼児学童を分析した.
研究方法としては小奇形の観察には有馬らや馬場・高島の方法に基づき, 皮膚紋理はHollister社のFoot-Printerを用い記録し,岡島に従つて分析した.
その結果, 小奇形3個以上の1個体保有率は16%にもみられ, 一般集団との間に明らかな相違がみられた. 皮膚紋理所見でも諸部分で異常頻度がみられた.
これらを総じてみると, 重障児は正常対照群に比し何らかの先天的要因がその成因として関与していることを示唆する所見が得られた.