医療
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老人看護
―身体的, 心理的側面から―
山下 広子
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1975 年 29 巻 8 号 p. 832-836

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抄録
国立三豊療養所のリハビリテーシヨン患者の年令は年次高令化し, 60才以上が80%を占める現在看護面でも老人問題をふまえた内容へと変化せざるを得なくなつている. 今回この高令患者を理解するために調査をした結果, 看護上のニードとして, 1)身体的には(1)老化現象が顕著, (2)片麻痺がある, (3)多くの合併症を併発している. などから基本的生活の面で多くの援助を必要としていること. 2)心理的には(1)病気に対する不安, (2)老化によるあきらめ, (3)配偶者の死別, 家族(特に嫁)との不仲, 同室患者とのトラブル, など人間関係の不調が孤独感を強め生きがいを無くさせていることが明らかとなつた. 以上のニードに応える援助として(1)看護活動の中に患者の家族を効果的に参加させる, (2)治療的環境づくりにおける看護婦の役割と機能を果たすことを具体的に試みている. これにより今後も更に高令化するであろう患者に対し, 当療養所の老人収容施設化を防ぎあくまでも社会復帰を目ざすリハビリテーシヨン施設としての役割を果たしていきたいと思う.
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© 一般社団法人国立医療学会
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