医療
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29 巻, 8 号
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  • 冨田 達夫
    1975 年 29 巻 8 号 p. 783-788
    発行日: 1975/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    老人の特性を論じるにあたり, 対象を筆者が昭和42年から5年間主宰した特別養護老人ホームの, いわゆる寝たきり状態にある病的老人においた. 全身状態が正常でない老人から得たデータが健康老人の延命の保証にならないかと考えた. まず栄養については, 75才のBMRが男32.2Cal, 女30.7Calであることから1,600Calの1日栄養所要量が妥当であることを証明した. 消化器については92%に胃炎を認め低酸, 無酸は対照の若年群より多かつた. 死因と呼吸器などの感染症との関係は深く, ホーム開設以来101名の死亡者(男44名, 女57名)のうち開設時入所した100名の死亡は58名であつて, 年々死亡数の減少が著しい. 抗生物質と食餌療法の医学管理が軌道にのつた証拠であろう. 死因として肺炎25名, 褥瘡15名, 膀胱炎8名, 計48名が感染症で, しかし一方17名の肺炎が治癒し現存している事実は, 病的老人の予後は極めて悪いが, 適切な抗生物質と食餌による栄養により回復しうることを示した.
  • 堀 堅造, 志水 浩, 林 正泰, 大野 致, 林 繁樹, 小島 茂嘉, 高嶋 成光, 原 浩平, 三木 直二, 森脇 昭介
    1975 年 29 巻 8 号 p. 789-797
    発行日: 1975/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    老年者人口の増加に伴い, 従来は考えられなかつた高令者に対しても外科的侵襲が加えられるようになつた. しかし老人では原疾患以外に身体各臓器の機能不全を有していることが多く, これがため種々の合併症を来し, 老人の高い手術死亡率の原因になつている. そこで我々の胃手術症例の経験をもとに, これらの重要な因子の1つである腎障害について検討した.
    1971~1972の2年間に四国地方がんセンター・国立松山病院において行われた胃手術417例のうち65才以上の老人症例は85例であつた. 手術後1ヵ月以内の死亡を老人症例とその他とで比較すると老人の死亡率は9.4%で約10倍の高率であつた. その死因のうち最大の要因をなしていたのは腎不全であつた. 腎不全で死亡した4症例はいずれも65才以上の老人で胃癌患者であるが, そのうち2例は胃腸吻合手術であり, 腎不全発生と手術侵襲の間に相関は認められない. これらの症例の術前・術後の尿量及びBUNの消長を他の症例と比較検討し, あわせて老人術後急性腎不全の病態生理とその予防対策について私見をのべた.
  • はじめに
    横内 寛
    1975 年 29 巻 8 号 p. 799
    発行日: 1975/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 中山 龍, 木村 禧代二, 石川 七郎, 服部 信
    1975 年 29 巻 8 号 p. 800-806
    発行日: 1975/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    老化の成り立ちを具体的に把握する目的で, 平均血圧を等しくする健康な高令者群(平均年令57才)と, 有意に若い健康な若年者群(平均年令34才)の両群の細動脈コンプライアンスを比較した. 細動脈コンプライアンス(C)の測定には,指動脈を使用し, そのProximal phalanxに, Gaertner capsule, そのDistalに指尖容積脈波用キヤツプを装着し, 動脈を均等に圧迫することにより変化する容積脈波波高(△Vmax)とCapsule内圧(Po)及び収縮期圧(Ps)よりC{=△Vmax/(Ps-Po)}を算出した.
    その結果,高令者群では13×10-5cm3/mmHg,若年者群では8×10-5cm3/mmHgで有意差を認めた. 高令者でCが大きく, 血管抵抗が低く, 血流量が多いということは, 低下した毛細血管壁の透過性を補足し, 物質交換を維持するために, 物質拡散に重要な毛細血管床の面積の拡大を意味する. すなわち, 細動脈の弾性の低下及び, 毛細血管壁の透過性の低下が, 老化現象の具体的な現れであると考えられた.
  • 長野 準, 小泉 俊次郎, 富岡 真一
    1975 年 29 巻 8 号 p. 806-817
    発行日: 1975/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我々の病院の1969年より1974年までの入院患者1,001名のうちで, 老人(60才以上)の呼吸不全例の発生は, 31.3%であつた. 若年者の13.4%の発生に比して, 2.5倍である. しかも老人の呼吸不全の38%は死亡している.
    老人の呼吸不全は, 老化した呼吸器を基盤にしておこるものである. 呼吸器の老化は, 加令そのものによる変化と, 生活歴の長さによる外界刺激の反復による変化との積み重ねである.
    老人の呼吸器について加令による形態学的, 生理学的変化を検討して, 老人肺が若年者のそれに比して予備力の低いことを知つた.
    老人の呼吸器疾患と呼吸不全との関係をみると, 肺結核を首位にして, 慢性閉塞性肺疾患がこれに次いでいる. 肺結核で重症の呼吸不全になると, それが死につながることもわかつた. 老人肺の予備力の低下のためである.
    老人の肺結核, 慢性肺気腫, 気管支喘息などの閉塞性肺疾患, 肺炎などについて, その様相と呼吸不全との関連について述べた.
  • 田中 政春
    1975 年 29 巻 8 号 p. 817-822
    発行日: 1975/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    本邦においては, 老年期精神障害の要入院医療が顕在化し, 精神病院における深刻な医療従事者不足は一層緊迫した状態になつている. 新潟県上越地区を対象とした調査結果から推測すると, 昭和55年には老年期精神障害に対して全国で約4~6万病床を準備する必要がある. この病床数は現在の国・公立精神病床にほぼ匹敵するもので, この施設整備と人的資源の確保に対しては根本的な施策が必要である. しかし, 老年期精神障害が急増してしまつた現時点においては, 他の内因性精神障害の治療を保証するためにも行政上の臨時措置が必要である.
    その措置として, 老年期精神障害を多く入院させている精神病院に対しては, 精神病院の定員に関する特例の適用を認めないこと, また, 精神科老人病棟の生活看護を看護助手に担当させる医療制度上の臨時措置が考えられる.
  • 池尻 泰二
    1975 年 29 巻 8 号 p. 822-832
    発行日: 1975/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    過去7年間の私どもの2,304手術例中, 70才以上の高令者122症例に検討を加えた. まず術前のRiskに関しては, 術後の合併症死亡に直結し得るものとして, 脳卒中後の半身不随, 高度の腎不全などが目立つていた. また高令者では青壮年者に比して術後死亡率は確かに高いが, このうち合併症死亡と見なすべき症例は, まず胆道・膵の悪性腫瘍, 次いで腸閉塞あるいは救急的な胆石手術など, いくつかの限られた疾患群に集中しており, 通常の定型的手術であれば, 胃切除, 胃全摘, 直腸切断といつた程度の手術侵襲にも, よく耐え得ていることを知つた.
    対象疾患の多くが悪性腫瘍かEmergencyかであるという事情をも考えると, 高令というだけで手術適応に限界を設けることはむずかしく, むしろ, 手のかかる術前術後のCareを十分やつて行ける準備が私どもにあるかどうかが, 老人外科今後の問題であろう.
  • ―身体的, 心理的側面から―
    山下 広子
    1975 年 29 巻 8 号 p. 832-836
    発行日: 1975/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立三豊療養所のリハビリテーシヨン患者の年令は年次高令化し, 60才以上が80%を占める現在看護面でも老人問題をふまえた内容へと変化せざるを得なくなつている. 今回この高令患者を理解するために調査をした結果, 看護上のニードとして, 1)身体的には(1)老化現象が顕著, (2)片麻痺がある, (3)多くの合併症を併発している. などから基本的生活の面で多くの援助を必要としていること. 2)心理的には(1)病気に対する不安, (2)老化によるあきらめ, (3)配偶者の死別, 家族(特に嫁)との不仲, 同室患者とのトラブル, など人間関係の不調が孤独感を強め生きがいを無くさせていることが明らかとなつた. 以上のニードに応える援助として(1)看護活動の中に患者の家族を効果的に参加させる, (2)治療的環境づくりにおける看護婦の役割と機能を果たすことを具体的に試みている. これにより今後も更に高令化するであろう患者に対し, 当療養所の老人収容施設化を防ぎあくまでも社会復帰を目ざすリハビリテーシヨン施設としての役割を果たしていきたいと思う.
  • ―とくに病院食における老人の食事―
    松田 福太郎
    1975 年 29 巻 8 号 p. 836-841
    発行日: 1975/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    最近は病院療養所の入院患者のうち老人の比率が高くなつている.
    老年者(60才~69才)の栄養基準量は熱量1750Cal, 蛋白質70g(48年10月答申)で相対的には高蛋白食である.
    実際に調査された摂取栄養量はこの数字を上回つているが主食量(精米で1食当たり)を909~1109に減らしながら栄養比率を考慮し答申の基準量にもつて行くべきである.
    国立病院療養所における実態は, ほとんどの施設で老人の食事に対する配慮はなんらかの形でなされているが特別に老人食を調製しているのは10施設である. これらの現実をふまえ医師, 栄養士はどう考えているか, 老人食のあり方や栄養と嗜好の問題などについて実施したアンケートの結果をもとに報告する.
  • 南 義雄
    1975 年 29 巻 8 号 p. 841-844
    発行日: 1975/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    老人と薬剤について病院薬剤師からの提言
    1. 薬の剤型……老人向剤型のたち遅れが目立つ現況は改善を要す. 顆粒剤の開発・剤型の小型化・坐薬の改善・薬効をコントロールするための剤型の研究など, メーカー及び病院薬剤師の協力に待つ面が多い.
    2. 老人薬用量……内外の学者による種々な示唆・学説をもとに, 広範な検討成績がさらに体系別に整理され分類され, 実地医療に役だつ老人薬用量が検討さるべきである.
    3. 薬物の相互作用と副作用対策……長期多種多量投薬による有害作用の予測や頻度を, 老年者の身体上の特徴とくに形態面・機能面・代謝面から解明する必要がある.
    4. 老人医療の専門化と薬剤師……老人の臨床薬学の確立は焦眉の問題で, その特殊性を強調できる薬剤師の養成が, 急がれねばならぬ.
  • 苫米地 孝之助
    1975 年 29 巻 8 号 p. 844-848
    発行日: 1975/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    我が国における老人福祉は老人福祉法に基づいて, いろいろの対策が講ぜられている. これらの対策は近年急速に充足してきているが, まだ不十分な点が少なくなく, 特に医療との結びつきに欠ける面が多い. 一方医療は健康増進, 予防, 治療, リハビリテーシヨンまでを一貫した, いわゆる包括医療により体系的に実施されることが望ましい. そこで今回は老人福祉対策を包括医療の観点から見直し, 現状に対する認識を深めると共に, 今後の課題を指摘し, 将来への足掛りとすることを目標として検討した. 検討の結果, 健康増進については今後の対策に委ねる部分が非常に大きいこと, 予防については健康管理の体制整備が急がれること, 治療については老年医学の進歩と, 老人医療費の無料化などに伴う医療供給体制の整備が重要であること, リハビリテーシヨンについては現在建設準備中の国立リハビリテーシヨン施設を中心としたリハビリテーシヨン網の確立が必要なことなどが明確となつた.
  • 田村 美枝子
    1975 年 29 巻 8 号 p. 848-849
    発行日: 1975/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 建部 敦
    1975 年 29 巻 8 号 p. 853-857
    発行日: 1975/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    1ヵ月間の間歇期の後, 2度にわたり総計約40日間の無言無動状態を主とする遅発性精神神経症状が出現した高令者の間歇型CO中毒で, 社会的寛解に至った1症例を経験したので報告した.
    あわせて無言無動状態について臨床的立場より考察を行つた.
  • 肝硬変・食道静脈瘤・肝転移
    川井 三郎, 相良 正彦
    1975 年 29 巻 8 号 p. 858-859
    発行日: 1975/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1975 年 29 巻 8 号 p. 860
    発行日: 1975/08/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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