医療
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腰部椎間板ヘルニヤ術後に発症し, 脳圧亢進症状を伴つた脊髄内膿瘍の1症例
池田 宏也岩田 吉一外賀 昭赤木 功人
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1975 年 29 巻 9 号 p. 945-948

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抄録
脊髄病変で, 脳圧亢進症状, 特にうつ血乳頭を呈してくるものは稀とされている. また, 脊髄内膿瘍は, 私共の調べ得たところでは, わずか52例しか全世界で報告されていない. 私共は最近, 椎間板ヘルニヤの術後に脳圧亢進症状を伴つた脊髄内膿瘍を経験した. 患者は33才の男性で, 腰部椎間板ヘルニヤ術後20日目ころより, 両下肢運動, 知覚麻痺と, 脳圧亢進症状を呈した. 脳室腹腔短絡手術の後, ミエログラフイーの結果, 第10胸椎~第2腰椎の椎弓切除術を行つた. 脊髄は完全に膿と置換されており, 膿の塗抹標本ならびに, 組織学的所見より, 脊髄内膿瘍と診断した. 術後わずか知覚障害レベルの下行や一般状態の改善が見られたが, 術後4ヵ月目には, 同様の症状が両上肢にも及び, やがて呼吸筋の筋力低下が出現し, 不整脈, 発熱, 血尿を併発し, 患者は死亡した. 剖検の機会を得ることは出来なかつたが, 非常に珍しい脊髄内膿瘍を経験したので, 文献的考察を加えて報告した.
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© 一般社団法人国立医療学会
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