抄録
私達は過去の研究に引続き, 49年度研究として, 老年たよる精神障害で65才以上の者のうち, 最近2年間に退院した患者を主研究対象として調査した結果, 大略次の結果を得た.
1)65才以上の全退院者中, 老年による精神障害(老年痴呆など)が大部分である.
2)退院しえた要因の主たる事項は, 患者の反社会的行動障害の消失または軽減であつた.
3)軽快退院者と増悪退院者との入院時状態像には, 差異が認められた.
今後, より詳細な状態または病像を観察し, 老年精神障害者の社会復帰の治療の方向性を見出したい.