医療
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30 巻, 10 号
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  • 古谷 誠, 荻野 幹雄, 浅井 春雄, 蜂須賀 彬夫, 村瀬 孝雄, 笹 哲彰
    1976 年30 巻10 号 p. 923-928
    発行日: 1976/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    老人の大腿骨頸部骨折治療に関する諸問題のうち, 基本的と思われる次の2点に関しての資料を整理してこれに私見を加えた.
    1. Poorriskに対する手術適応の有無
    内側骨折は観血的療法のほぼ絶対的適応であり, これを万難を排して施行すべきで, このためには十分な全身管理, 術式及び麻酔法の選択が必要である. 一方外側骨折は骨癒合が良好であり, 手術侵襲は一般に大きいので手術の絶対的適応とはいえず, Poor riskではむしろ保存的加療が優れていると思われる
    2. 内側骨折と一次的人工骨頭置換術
    内側骨折の合併症である仮関節, 骨頭壊死に対処する方法として一次的人工骨頭置換術が盛んに行われる傾向があるが, 高令者といえども無差別に対象とすべきではなく, 適応の限定が必要だと考えられる.
  • 菊地 金男, 小島 誠一, 芳賀 隆, 平山 隆
    1976 年30 巻10 号 p. 929-936
    発行日: 1976/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    当科の手術患者を対象とし, 二, 三の臨床的検索を行い, 術後抗生物質の予防的投与の可否について検討を加えた. 手術室, 病室の汚染度, 気道ならびに胃腸内常在菌, 術後感染症の起炎菌と予防的に投与した抗生物質に対する感受性との相関々係を追求した結果, 手術室, 病室の落下菌と術後感染症との間に因果関係はなく, 術前病原性ありと認められた常在菌が予防的に投与された抗生物質により激減したため, 他の非病原性の常在菌が繁殖し, 起炎菌となり, 感染症を惹き起こす例が多かつた. すなわち術後の予防的化学療法により菌交代現象を招き, 難治性の感染症に発展する傾向が強かつた. 従つて術後感染予防としての習慣的な抗生物質の投与は差控えて術前, 術後の患者管理, 特に一般状態の改善に重点をおき, 感染症の早期発見に努め, 発見後早期に適切な化学療法を行うべきことを強調したい.
  • ―国立武蔵療養所外来調査より―
    中村 豊, 熱田 一信, 藤沢 敏雄, 三船 英男, 安藤 烝
    1976 年30 巻10 号 p. 937-944
    発行日: 1976/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    従来内因性精神疾患の長期在院治療を中心とした国立精神療養所外来における最近の変遷, 特に神経症患者の増加に伴い, その対策を求める目的で神経症診療の概括的調査分析を行つた.
    神経症は外来新患総数中に20%以上を占め, 内因性疾患, 特に分裂病とほぼ近接する高い比重を示す. 主要症状は近年増加を指摘される抑うつ状態の外, 心気, 不安状態の出現率が高く, 男性で心気状態が, 女性で不安状態が高率で, 特に男性の心気状態を示すものに予後の困難が多かつた.
    これらについて発病に際する個体側の特性, 環境的諸要因の分析を行い男女及び年令などによる差異を示し, また治療方針の差異が経過に及ぼす影響を検討した. 外来診療上当面する若干の問題点を提起し, 今後増加の予想される神経症への対応につき討論を加えた.
  • 松尾 宗祐, 須山 健三, 中澤 良夫, 森 一毅
    1976 年30 巻10 号 p. 945-953
    発行日: 1976/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    DMP症D型は幼児に発症し, 加令成長とともに躯幹・四肢筋の萎縮・変性を来す疾患で, 呼吸器感染症による呼吸不全がその死因となることは諸家の報告にみられる.
    我々は, DMP症55例について呼吸不全の観点から肺機能ならびに運動負荷に対する換気・血液ガスの応答について検索し次の成績を得た.
    1)肺機能は, %VC・%MVVの低下, Pao2の低下を主体とした拘束性障害であり, 加令成長・障害度・胸椎変形の進行とともに増悪した.
    肺胞低換気に至る呼吸筋力の動きは, 始め吸気筋力が低下し, 次いで呼気筋力も低下した. 胸椎側彎31°, 障害度VII度を越えると%VC40%, Pao275mmHg以下に低下し, 呼吸不全へと移行した.
    2)60%>%VC>40%群では, 運動負荷による換気量の増加を呼吸数の増加に強く依存し, 速く浅い呼吸様式に変化するとともにPao2の低下, Paco2の上昇がみられた.
  • 1.Pick病とAlzheimer病の鑑別診断
    秋元 波留夫, 松元 寛仁, 松本 秀夫
    1976 年30 巻10 号 p. 954-960
    発行日: 1976/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    初老期痴呆17例について, 臨床的, 脳波的ならびに病理学的検索を行い, 次の結論を得た.
    (1)臨床症状からは, 4類型に大別された.
    Alzheimer病は, 頭頂・後頭葉症状群を主症状として言語症状が後に続くI群としてまとめられる. Pick病は, 早期から対人接触面や行動面の異常が前景に立つが, 同時に健忘・感覚失語を示すII群と, これを伴わないIII群に分かれた. また臨床症状のみからは鑑別困難なIV群が4例存在した.
    (2)脳波±は, 末期までα波が優位律動として保存されるα波保存型と, 早期にα波が消失して後期には高振幅徐波優位波型を示す高度変化型の2型に分かれ, Pick病は前者に, Alzheimer病は後者に属した. 臨床的診断は困難としたIV群も同じく2型に分かれ, それぞれP病, A病であろうと推定された.
    (3)7例の病理組織学的診断は, 以上の臨床ならびに脳波的鑑別診断と一致した.
  • 2.老年精神病の研究
    秋元 波留夫, 片桐 隆, 三澤 健
    1976 年30 巻10 号 p. 961-964
    発行日: 1976/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    私達は過去の研究に引続き, 49年度研究として, 老年たよる精神障害で65才以上の者のうち, 最近2年間に退院した患者を主研究対象として調査した結果, 大略次の結果を得た.
    1)65才以上の全退院者中, 老年による精神障害(老年痴呆など)が大部分である.
    2)退院しえた要因の主たる事項は, 患者の反社会的行動障害の消失または軽減であつた.
    3)軽快退院者と増悪退院者との入院時状態像には, 差異が認められた.
    今後, より詳細な状態または病像を観察し, 老年精神障害者の社会復帰の治療の方向性を見出したい.
  • 3.老年痴呆における血清ハプトグロビン
    秋元 波留夫, 田中 政春, 大森 隆, 山田 幸彦
    1976 年30 巻10 号 p. 965-968
    発行日: 1976/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    血清Haptoglobin遺伝子と内因性精神病の型および発症との関連が注目されてきている.
    われわれは老年痴呆27例において血清Haptoglobinの型を判定し, また, 27例中23例においては血清Haptoglobin値を免疫拡散法により定量した.
    その結果, 老年痴呆の血清Haptoglobin型ではHP1-1型11,1%, HP2-1型40.8%, HP2-2型48.1%で, HP1遺伝子頻度は0.314であつた. これを日本人一般住民のHP型分布と比較したが統計学的有意の差はみられなかつた.
    一方, 老年痴呆23例における血清Haptoglobin値はHP1-1型122.3±41.1mg/dl, HP2-1型210.9±97.3mg/dl, HP2-2型155.9±57.4mg/dlであり, 老年痴呆患者における血清Haptoglobin値は正常範囲であつた.
  • 東村 道雄
    1976 年30 巻10 号 p. 969-972
    発行日: 1976/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    患者は32才女子で, 発熱, 咳嗽, 喀痰, 肺野の浸潤影を主訴として来院した. 患者はX線像で両側上葉に浸潤影を示し, 1秒率51%の閉塞性換気障害を示した. 白血球数13,800, エオジン嗜好性細胞の百分率31%, 赤沈1時間値116mmを示した. SM-INH-PAS併用で2ヵ月, CPM-INH-PAS併用で2ヵ月治療したが, 3ヵ月後には浸潤像は完全に消失した. この患者はM. scrofulaceumツベルクリンに強い反応を示し, この菌の感染があると考えられた.
    以上の症例はLöffler's syndrome(Pulmonary eosinophilia with asthma)と考えられるが, Löffer's syndromeがM.scrofulaceumをAllergenとして起こりうることを示唆している.
  • 本郷 道夫, 藤岡 成徳, 三上 次郎
    1976 年30 巻10 号 p. 973-977
    発行日: 1976/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    真性多血症は, 本邦では比較的希な疾患であるが, 近年増加の傾向にある. 我々は, 肺拡散機能低下を伴つた真性多血症の1例を経験した. 患者は, 59才女性で, 肢端紅痛症を主訴として当センター内科を受診. 入院精査の結果, 真性多血症と診断され, 呼吸機能検査では, 動脈血酸素分圧の低下と, 拡散機能の低下を認めた. 潟血, Busulfan, Pipobromanによる治療の結果, 末梢血液像の改善と動脈血酸素分圧の改善が認められたが, 肺拡散機能の低下が認められた.
    真性多血症の合併症としてThrombosisの発生が最も多くみられるものであり, 本症例における肺拡散機能の低下も, 肺毛細管におけるThrombosisによるものと考えられた.
  • 犀川 一夫, 新垣 学
    1976 年30 巻10 号 p. 978-982
    発行日: 1976/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    沖縄北部地域にある, らいの有病率6.9%の某部落で, 1家族8名中, 父親を除いて7名にらいの発症を見た稀有な家族内多発例を報告し, あわせて某部落のらいの疫学的状況を述べ, 伝染源問題としてらいの家族内感染問題, 特に夫婦感染についてふれた. またらい接触者家族中よりらい発見の直接的機会となつたらいのContact tracingによる早期発見の重要性を強調した.
  • 三村 久, 村山 正毅, 西山 祥行, 佐々木 伸弥
    1976 年30 巻10 号 p. 983-986
    発行日: 1976/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    組織型の明らかな原発性肺がん非切除例70例の遠隔成績を検討して次の結果を得た.
    1. 組織型ではAdeno, Squamousが大部分を占めたが, 最近はSmall cell typeが増加する傾向にある.
    2. 喀痰細胞診で確定診断の得られたものは53%であつた.
    3. Stage III, IVの症例63例についてみると, 非治療群に比し治療群では明らかに延命効果がみられた. 化学療法, 放射線療法および両者の併用療法による生存期間の間には有意の差は認められなかつた.
    4. 治療群についてみると, 初発症状から治療開始までの期間が短い例に長期生存が得られるという傾向はみられず, 初発症状から治療開始までの期間の非常に長いものに生存期間の非常に長い例もみられた.
  • 菅村 昭夫, 木下 準四郎, 井上 〓, 島田 誠, 島 隆允, 小川 俊郎, 池田 貢
    1976 年30 巻10 号 p. 987-991
    発行日: 1976/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    チアノーゼ, 多血症, 右心不全症状を伴つた慢性呼吸不全の患者について, 急性増悪期の動脈血ガス分析について検討した. 第1例は高度拘束性換気障害の患者であつたが, Hypoxemia with hypercapniaであり, 〔BE〕-Pco2図ではChronic respiratory acidosisのSignificance bandの中にほぼ納まつていたが, Acldosisは改善されず死亡した. 第2例は高度閉塞性換気障害の型であつたが, Hypoxemia without hypercapniaであり, 〔BE〕-Pco2図ではChronic respiratory acidosisのSignificance bandを大きく下方に外れていた. 両例とも剖検が実施され, 典型的な右室肥大が認められた. 高度な低酸素血症の持続が予後の悪いことを示した2例と考えられた.
  • 金 耀誠, 木村 忠, 野末 洋, 町田 信夫, 内藤 信行, 栗林 宣雄
    1976 年30 巻10 号 p. 992-997
    発行日: 1976/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    国立東京第二病院において, 12年間に取り扱つた生検材料25,000例の中で軟部腫瘍は510例で2.1%である. 内訳は良性483例, 悪性27例で, 悪性軟部腫瘍は全軟部腫瘍の5%を占める. 良性軟部腫瘍のうちでは脂肪腫が最も多く, 全体の30%を占める. 悪性軟部腫瘍27例の内訳は, 線維肉腫, 平滑筋肉腫, 皮膚線維肉腫, 滑膜肉腫各4例, 横紋筋肉腫, 神経肉腫各3例, 脂肪肉腫, 血管肉腫各2例, 診断未定1例である. 悪性軟部腫瘍の症例をふりかえると, 過去の症例ほど摘出と再発を繰り返しており, 初回治療の重要性が痛感された.
  • ―血液疾患並びに免疫低下諸疾患の入院病棟―
    伊藤 宗元, 山口 与市
    1976 年30 巻10 号 p. 998-1004
    発行日: 1976/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
    最近の医療の進歩には確かに著しいものがある反面, なお今後改善されるべき多くの問題が残されている. その一つに医療環境(病室, 病棟)の整備がある. 従来は医療環境としての入院病棟の整備は医療従業者の働きやすさに主眼がおかれがちで, 患者の治療に直接役立つための環境整備が必ずしも十分であるといえなかつた.
    本論文は主に内科系疾患で近時特に治療法の進歩の著しい血液病, さらに免疫低下をきたす諸疾患を取扱う病棟が今後どのようにすることによつて致死的諸疾患を助けうるかについて, 一つの病棟を取りあげて, その現状を分析しながら考察を加えた. これらは今後新しく作られる病棟の一つの姿として当然考えなければならない問題で, 病棟病室が単に医療行為を行う場としてのものではなく, 新しい環境下に入ることが直接疾病医療に結びつく場であるようにすることが目的でなければならない.
  • 前川 喜平, 中島 光清
    1976 年30 巻10 号 p. 1006-1007
    発行日: 1976/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1976 年30 巻10 号 p. 1008
    発行日: 1976/10/20
    公開日: 2011/10/19
    ジャーナル フリー
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