医療
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老年期精神障害の成因と治療に関する研究
1.Pick病とAlzheimer病の鑑別診断
秋元 波留夫松元 寛仁松本 秀夫
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1976 年 30 巻 10 号 p. 954-960

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抄録
初老期痴呆17例について, 臨床的, 脳波的ならびに病理学的検索を行い, 次の結論を得た.
(1)臨床症状からは, 4類型に大別された.
Alzheimer病は, 頭頂・後頭葉症状群を主症状として言語症状が後に続くI群としてまとめられる. Pick病は, 早期から対人接触面や行動面の異常が前景に立つが, 同時に健忘・感覚失語を示すII群と, これを伴わないIII群に分かれた. また臨床症状のみからは鑑別困難なIV群が4例存在した.
(2)脳波±は, 末期までα波が優位律動として保存されるα波保存型と, 早期にα波が消失して後期には高振幅徐波優位波型を示す高度変化型の2型に分かれ, Pick病は前者に, Alzheimer病は後者に属した. 臨床的診断は困難としたIV群も同じく2型に分かれ, それぞれP病, A病であろうと推定された.
(3)7例の病理組織学的診断は, 以上の臨床ならびに脳波的鑑別診断と一致した.
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© 一般社団法人国立医療学会
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