抄録
全身性エリテマトーデス(以下「SLE」と略す)の好発年令は15~40才で, 女性に多い疾患であるため妊娠の問題は重要である. 1952年, Donaldsonが始めてその関係につき報告した.
症例17才, 学生, ♀. 当初腺熱様症状で発病した. 昭和38年3月発病, 昭和39年2月SLEと診断, ステロイド療法を開始した. 初め4年間加療, 以後中絶し, 発病後5年目に結婚, 2ヵ月で人工流産を行い, 7年目に再度妊娠して8年目に満期出産す. その間腎障害は軽度であつた. 分娩2ヵ月後, 急性腎障害で死亡した.
ステロイド療法は, 妊娠中ことに分娩後1~2ヵ月の増悪可能時期には欠くことは出来ない.