抄録
全身性エリトマトーデスは一卵双生児発生をはじめ, 同一家系内発生及びその類縁疾患の家系発生が報告されている. また, 家族性免疫異常も報告され, 遺伝学的詳細は不明であるが, 特定の遺伝的背景にもとづく素因があることは周知の事実である.
症例は一卵双生児の弟方に発生した全身性エリトマトーデスであり, 発病より尿毒症で死亡した3年3ヵ月の間に顔面の蝶形紅斑, LE細胞陽性, 日光過敏症, 関節痛, 著明な蛋白尿及び精神症状を呈し, アメリカ・リウマチ協会の診断基準を満足するものと考えた.
その兄方は, 現在自覚症状を全く認めないが, 2回の血液化学的検査で高γ-グロブリン血症を認めたので報告する.