抄録
私は48才女性のSLE患者を11年間観察した. その臨床症状は軽度の発熱, 関節痛, 顔面蝶形紅斑, 前腕部発疹, 及び前腕部と下腿の紫斑であつた. これらの症状は副腎皮質ホルモンにより, よく抑制することが出来た. その量はRinderonで初期に3mg, 段々減量し最近0.5mgで症状は改善している. 臨床検査成績では初めに軽度の貧血, 白血球減少, LE細胞陽性, 肝機能障害があつたが現在はいずれも正常, 経過中高コレステロール血症が続いた. 腎機能検査では一度PSP試験の低下と, 尿蛋白陽性が時にみられたが血中尿素窒素は正常, CRP, RA test, 血清梅毒反応は陰性で, 血清蛋白のγ-Globulinは正常であつた. X線検査で肺野に異常なく, 心電図では初めに第一度房室ブロツクがあつたが, その後に正常となつた. 発病から通算して14年間経過したが, 家庭主婦として普通生活を送つている.