医療
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糖尿病におけるMid-bandの出現についての考察
池田 裕
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1977 年 31 巻 1 号 p. 37-45

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抄録
高脂血者にDextran sulfate (DS)を静注する際, 血清リポ蛋白電気泳動像が変動して, Pre-βとβとの間にMid-bandが出現するが, それが本来のMid-bandと免疫学的に同一であり, 共にリポ蛋白代謝過程でのRemnantであろうと推論した. また, Mid-bandと冠虚血との相関性を示す報告があるが, 器質的病変に一致・出現する特異蛋白ではなくて, 高中性脂肪(TG)・高遊離脂酸血症に頻度が大なRemnantであろう. ところで糖尿病に高TG血症が合併しやすいことは周知のことだが, Control前の60例とその中から追跡できたControl良好な30例について, 本来のMid-band及びDS注射後出現のMid-bandが出現する際の病態を検討した結果, Mid-band出現の有無による病態の差異として, TG・空腹時血糖値・OGTT後の最高血糖値についての有意差が得られた.
これより, 糖尿病のControlの面から, そして, 冠虚血合併予防の面からも, Mid-bandが出現する病態は好ましくないと考えられた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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