医療
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再吻合により愁訴の改善をみた輸入脚症候群の1例
石山 和夫笠島 学木村 忠
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1977 年 31 巻 1 号 p. 72-75

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抄録

胃切除術後にみる後遺症には, その原因も多岐にわたることが少なくなく, 治療に関しても困難な場合が多い. 1) Billroth II法を行つた術後には, 輸入脚に関連した問題が愁訴の原因となつているものが少なくない. すなわち輸入脚症候群と称されているものには, 摂取した食物の輸出脚への通過は認められるが, 腸液や胆汁, 膵液などの通過が妨げられた結果おこる場合と, 盲嚢となつた輸入脚内に食物の一部が進入して消化液と混合してうつ滞を起こした結果生ずるいわゆる盲嚢症候群などがある. いずれにせよ術後愁訴としてのダンピング症候群や逆流性食道炎などと共に食事摂取に伴つて起こる愁訴として患者を悩ますものである.
我々は最近これら輸入脚症候群の非典型的な型ではあるが, 摂取した食物の通過不全状態に悩まされていた症例に対し, 再吻合術を行うことによつて愁訴の改善をみることが出来た経験を持つた.

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