医療
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悪性関節リウマチの臨床
―心病変を中心として―
藤井 俊宥今高 国夫中野 昌人滝塚 久志岡山 謙一金井 豊親勝正 孝藤森 一平福田 純也
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1977 年 31 巻 10 号 p. 1072-1078

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抄録
慢性関節リウマチの剖検18例につき検討した結果, 18例中9例と半数が心不全で死亡しており. しかも9例中8例は全身性血管炎を伴つたいわゆる悪性関節リウマチ(MRA)であつた. このようにMRAは心不全で死亡する例が多いことは, 心病変の存在を推定させる所見である.
MRAの診断には血管炎の存在が重要であるため, 血管炎陽性の MRA 13例と, 血管炎陰性のMRA 15例につき検討を行つた.
1) 臨床的には, 頻拍, 心肥大, 下肢の浮腫, 不整脈, 心のう摩擦音, 呼吸困難, 胸痛, 胸膜炎, 肺線維症などは, 血管炎陽性例に著明で, 陰性例には明らかに異なつた.
2)心電図所見も不整脈は高頻度69.2%にみられ, 上室性, 心室性期外収縮, 心房細動房室ブロツク, STTの変化などがみられ, 血管炎陽性例に著明であつた.
3) 心組織所見は血管炎を伴つたMRAでは心内膜では, 肉芽腫性心内膜炎, フイブリノイド変性を伴う心内膜炎がみられ, 心筋層では間質性心筋炎, 小梗塞巣, 血管炎がみられた.
心外膜では心外膜炎が高度であり, 血管炎が認められた.
以上のごとく臨床的にも組織学的にも, 心病変が得られたので報告した.
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© 一般社団法人国立医療学会
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