抄録
国立療養所に長期にわたり入所している患者の歯科治療を阻害するいろいろの条件を探り, その改善を目指す国療歯科共同研究の一環として, らい部門を担当調査した. 報告は恵楓園, 青松園の2施設合同で行つた調査と, 恵楓園単独で行つた結果を併記した.
患者の約10%は多数の欠損歯のため著しい咀しやく障害がある. また25%は口辺に何らかの知覚あるいは機能障害がある. 歯科治療の供与不十分すなわち荒廃した口腔状況になつた理由の大部分は全身的状況によつて受診しなかつた者で, らいによる局所的原因と見なされる者は少なかつた.