抄録
1971年1月より1975年5月までに, 消化性潰瘍に対する手術は107例で, そのうち迷走神経切離術は37例行われた.
消化性潰瘍に対する迷切術を広範囲切除術と比較するために, 術後成績を術式により胃切除術の行われた胃潰瘍群(35例), 及び十二指腸潰瘍群(35例), 全迷切兼幽門洞切除群(18例), 選迷切兼幽門成形群(9例)にわけ検討した.
また遠隔成績をアンケートにより回答の得られた75例につき検討し, 次の結果が得られた.
(1) 胃潰瘍に対しては胃切除術で十分であり, 十二指腸潰瘍に対しては減酸効果の不安定のため, 何らかの型で迷切を加えた手術の必要がある.
(2) 選迷切兼幽門成形術は減酸率は低いが, 術後の自覚症状の改善が極めて著明である.