医療
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膀胱腫瘍の臨床統計的観察
井田 時雄村山 鉄郎
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1977 年 31 巻 2 号 p. 146-150

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抄録
泌尿器科領域における悪性腫瘍のなかで, 膀胱腫瘍は前立腺癌とならんで最も多い疾患である. 我々も昭和40年5月より昭和50年4月までに58例の膀胱腫瘍症例を経験した.
膀胱腫瘍58例の性別比は3.8:1で男子に多く, 年令分布も60才代に最も多い. 初発症状としての血尿は, 87.9%に認められた. 腫瘍の細胞型分類では移行上皮細胞型が92%を占め, 扁平上皮細胞型は3例にすぎなかつた. 悪性度, 浸潤度をBroders及びJewettの分類に従つて分類した結果, Low grade 64.8%, Low stage 82.5%とLow grade, Low stage群が多く, 諸家の成績と比較して特異的であつた.
膀胱腫瘍に対する手術適応は, 表在性腫瘍にはEndoscopic operationを主体とし, 深部浸潤性腫瘍には膀胱部分切除術及び全剔除術を実施している. 我々の症例ではLow stage群が多いためEndoscopicに処置する機会が多かつた. 以上膀胱腫瘍58例の臨床統計的観察を若干の文献的考察を加えて報告する.
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© 一般社団法人国立医療学会
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