医療
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慢性腎不全を合併した先天性肺動脈狭窄症の1手術治験例
船木 治雄大田 早苗神谷 直紀保阪 茂文渋沢 喜守雄小出 桂三井上 昇菱田 明
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1977 年 31 巻 2 号 p. 155-160

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抄録
第III度の先天性肺動脈狭窄に慢性腎不全を合併した30才の男子の症例に, 開心術を行い, 心不全症状のみでなく, 慢性腎不全の所見もかなり改善された体験を得たので報告する.
この症例は, 術前, NYHA第III度のもので, 右室-肺動脈の収縮期圧較差が116mmHg, 尿素Nが45~87mg/dl, クレアチニンが4.4~10.7mg/dl, クレアチニン・クリアランスが15ml/minであつた. また, ラシツクス1錠/日, ジギトキシン0.05mg/日の投与で, どうにか, 1日の尿量を1,000ml前後に維持できた症例である.
開心所見では, 直径約5mmの弁狭窄にろ斗部の狭窄を合併していたので, 交連切開に加え, 肥厚したろ斗部の心筋を約7g切除した.
術後, 右室-肺動脈の収縮期圧較差は18mmHgに下降し, 尿素-N, クレアチニン, クレアチニン・クリアランスなどは, それぞれ, 33.4mg/dl, 3.7mg/dl, 19ml/minと改善され, 強心剤, 利尿剤を用いずに, 尿量を維持できるようになつた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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