抄録
ラジオアイソトープ利用のイメージング診断は, 多くの腎移植後の合併症を鑑別する侵襲の少ない検査法である. 北里大学病院では過去7年間に, 100例の移植腎に約300回のイメージングを施行した. 用いた核種は, 主に131I-hippuran (200~500μCi), 99mTc-DTPA (2~5mCi)である. 装置はNuclear Chicago製, HPまたはLFOV型ガンマカメラで, ミニコンピユーターが付属している. 腎部および膀胱部の集積曲線および連続イメージを作成した.
現在までに得られたデータ, 自験例を含めて解析に基づいて, 7種の合併症を検討した. 1. 急性尿細管壊死, 2. 尿の停滞, 3. 急性拒絶反応, 4. 慢性拒絶反応, 5. 血管障害, 6. リンパ瘤, 7. 尿の流出.
アイソトープ利用の腎イメージングは, 腎移植後の多くの合併症, 特に急性拒絶反応を見出すために有用である.